経営基盤の強化
考え方
こんにちは、中小企業診断士の杉本です。
先日、友人とお互いの近況の話をした際に、「昔ほど〇〇についてアンテナが立たなくなったね」ということがありました。
興味の移り変わりもあるので、プライベートでは問題ないでしょう。
しかし、会社経営においては、経営者は日々の業務に追われる中でも、常に環境の変化やトレンドに敏感でなければなりません。
都市部であれば人が多く情報に触れる機会も多くありますが、地方の場合は得られる情報は限られてしまいます。
逆に、そのような環境だからこそ、外部の変化やニーズに敏感であることが一層重要になります。
特に、地域密着型の中小企業では、細かなアンテナを持たなければ、周囲の変化に迅速に対応することや、事業の安定と成長を図ることができません。
まず、地方の経営者が持つべきアンテナは「地域の市場動向」です。
地方では、大都市と比較して市場規模が限られているため、消費者のニーズや購買行動の変化が事業の継続に直結します。
たとえば、人口減少や高齢化が進む地域では、若者向けのサービスだけでなく、高齢者向けの商品やサービスの開発が必要不可欠です。
また、外部からの観光客が増えているのであれば、地域の特産品や観光資源を活用した商品開発やサービス提供を行い、需要の変化に対応することが重要です。
地域の市場動向を正確に掴まなければ、判断を誤り経営が一気に傾くこともあり得ます。
次に、「地域コミュニティ」のアンテナも非常に大切です。
地方では、地域の人々との信頼関係がビジネスの成功に大きく関わります。
地元のお祭りやイベントに参加する、地元新聞や広報誌に目を通す、あるいは自治会や商工会議所の会合に出席する等で、地域社会の中で自社の認知度や信頼度を高めることができます。
地域住民や事業者と良好な関係を築くことは、新たなビジネスチャンスや提携のきっかけにもなります。
また、地元の口コミの力は非常に強いため、誠実な対応と高品質なサービスの提供を意識することで、地域全体での評判を向上させることが可能です。
「デジタル技術」に対するアンテナも重要です。
昨今では、地方でもオンラインで商品やサービスを販売する機会が増えています。
地域の特産品や地元ならではのサービスを、SNSを活用して地元だけでなく、広い範囲に発信することで、地方にいながら新たな顧客を獲得することも可能です。
コストを抑えつつ効果的にマーケティングを行うために、デジタル技術を積極的に取り入れることが大切です。
さらに、「従業員の声」に対するアンテナも必要です。
地方の中小企業では、従業員は少数であることが多く、従業員の意見が会社の運営影響を与えることも少なくありません。
従業員一人ひとりが持つ経験やアイデアを尊重し、心理的安全性の高いオープンなコミュニケーションを大切にすることで、職場環境の改善やサービスの質向上に繋がります。
最後に、「経営者自身の成長」に対するアンテナも重要です。
地方では都市部と比較して新しい情報が入りにくいというハンデがありますが、これを克服するためには、積極的に学ぶ姿勢が求められます。
最近ではオンラインによるセミナーも多く開催されておりますし、書籍から他の成功事例を学ぶことが出来ます。これらは自社のビジネスに新たな視点を取り入れる良い機会となります。
情報に触れる機会が限られている地方の経営者には、細かなアンテナを張り、感度を高めることが求められます。
上記5つのアンテナを張ることで内外の情報を積極的に掴み、柔軟に対応することで事業の成長に繋げて行きましょう。
中小企業診断士 杉本貴弘