支援先様インタビュー・補助金申請編 株式会社今井製作所 代表取締役・今井宣夫様
株式会社今井製作所は1962年設立の金属プレス加工業者様です。現・代表取締役の今井宣夫氏は同社の4代目で、サラリーマン経験を経て58歳で社長に就任するという珍しいご経歴をお持ちです。
新たな転換期を迎えている同社が、設備投資にあたって事業再構築補助金の活用に至った経緯や、今後の事業の展望についてお話をお伺いしました。
――既に補助事業により設備導入されていらっしゃいますが、その後の経過はいかがでしょうか?
やっぱり、機械を4台も入れるとなるといろんな会社が見に来てくれる。既存取引先の主要メーカーも10人くらいで見に来た。もっとこんな製品ができないか、とか何か新しくできるものはないか、とたくさんの相談を受けている。うちは小さな会社だけど、上場企業ですら機械が老朽化してきているから。今まで何度言っても見に来なかった企業でも、設備を導入したことで足を運んでくれるようになった。
――どれくらいの企業が見に来られたのですか?
主要取引先様や大手メーカー以外にも、各トランスメーカーなどからも問い合わせがあった。
これまで接点のなかった会社からも問い合わせがきている。設備メーカーのアマダ様が導入したことをいろんなところで宣伝してるみたいで。口コミだね。
――具体的なお仕事にはつながっていますか?
こういうことをやりたい!という意欲をもった会社との話は進んでいるかな。コロナでみんな意欲がなくなっちゃっていたから。うちは後継者がいるからこうやって設備投資したり新しいことをやろうとしたり、何かやろうという行動に移せる。けど、後継者がいなかったらうちも意欲は無かったんじゃないかな。(同社は代表の子息の佑輔氏が後継ぎとして取締役に就任し、代表取締役を支えている)
でも、こうやって「新しいことをやろう」という思いが、僕個人ではなく会社の思いとして業界に伝わっていけばいいと考えている。会長・社長の個人としての「顔」ではない。軌道に乗ってしまえば、会社としての力へとシフトしていける「会社としての個性」をアピールしていく必要がある。
――「個」から「会社」へ。そのようなお考えはいつから持っていたのですか?
自分で4代目だけど、それまで会社は大きくならなかった。何でかなって考えたときに、それまでは個人の力でやってきたからでは?と思い至った。個人の力でやってきた会社はどこかで行きづまる、と気づいた時、「中途半端で終わりたくない」と思った。自分が辞めたとたんに「潰れました」となるのは避けたかった。
――「個」による運営でうまくいかないのはどんなことでしょうか?
例えば仕入材料の価格交渉で、個人の個性で交渉ができることはほとんど無くなった。「あの社長はうるさいから下げて(値下げして)おこう」とか。交渉しようとなると、まずは計画的に仕入れることで材料メーカーに対して信頼を得られる。
サラリーマンを経て入社した当時は、先代の下にいればとりあえず食べてはいけると思っていた。でも、取締役になった途端、現在より未来をどうしていくかという考えが強くなった。そのためには会社としての力をつけなくてはと思い、まず手始めとして仕入れチャネルを増やして価格ラインナップを広げ、仕入れ先との交渉力を強めることに取り組んだ。
――会社としての力を強める次の一手として設備投資に至ったと思いますが、補助金を使うという選択肢に至った経緯はどのようなものですか?
(7年前)元々あった200tの機械では製造できる製品の範囲に限界があった。そこで、300tの機械を新しく導入しようという意思決定をして、じゃあ資金をどのように調達しようかとなった時に金融機関から補助金のことを教えてもらった。
銀行に紹介されたコンサルタントと、その次は別の支援業者の力を借りて申請をした。
――これまでの補助金申請を別の支援業者に委託されていた中で、今回の事業再構築補助金の申請を当社にお任せいただけたのはなぜでしょうか?
過去の支援業者とは色々あったので、外部に頼むのは不安があった。自己資金でやろうかとも思ったが、大きい投資なのと、新しい事業をやるという趣旨に合っていたので補助金を使おうと思った。
その中で、設備メーカー様に紹介されてフラッグシップ経営さんにお願いすることにした。
――外部専門家に依頼するのが不安ということでしたが、具体的にどのような点が不安でしたか?
フラッグシップ経営さんにお願いすることに決めた後も、いまいち何をしている会社なのか実態がつかめなかった(笑)。製造業からすれば、コンサルタント業はモノを作っていないのに何故商売が成り立っているのだろうと不思議に思う。でも、これからはそういう相談役みたいな仕事が必要とされていくのかもね。
だから、もっとアピールしてもらって、「こんなこともできます」とか踏み込んでもいいんじゃないかな。
――当社をどこからか覗かれているのではないかと思うほど、的を射たご指摘です(笑)。貴社のご支援をした当時は社員が2名しかおらず、思うようにご支援の幅を広げられませんでした。現在は10名まで増員したので、今後よりよいご提案ができるようにしたいと考えています。
色んな提案をしていただいて、世の中の「フラッグシップ(旗艦・旗振り役)」になってほしいですね。
――ありがとうございます。最後に、今後の展望についてお聞かせください。
プレス業の地位を上げたい。「給料が低いのは当たり前」「汚いのは当たり前」を覆したい。製造業において、あまりにも底辺すぎる。いきなり右肩上がりではなくてもいいので、せめて最低から抜け出せるように。従業員20名を超え、小規模事業者からステップアップしていくため、その一歩が次の事業(事業再構築補助金の新分野展開)だと考えている。
プレス製造業が世の中でいかに重要な役割を担っているかを認識してもらうために、頑張っていきます。
――ありがとうございました。