新型コロナウイルス感染症 経営改善について 考え方

すべてのものは二度つくられる

こんにちは、フラッグシップ経営代表、中小企業診断士の長尾です。

 

大阪は新型コロナの感染拡大に歯止めがかからず戦々恐々とする日々が続いています。

 

自分自身が感染しないために手洗い、消毒、マスク、時差出勤や車通勤、不要不急の外出を控えるなどの対策を講じています。

 

しかし、私個人としては自分の感染リスクについて考えるよりも支援先様や相談に来られる事業者様の業績や資金繰りの悪化などについてどう対応していくか方に脳の大半が使われています。

 

気を付けなければならないのはメディアや報道です。

 

政府も首長もそれぞれの立場で「言えない事」がありますので厳しい状況はあまり伝わっては来ませんが、経営改善の現場で仕事をしている私は「今はまだ序の口。向こう3年から5年程度は極めて厳しい経済環境になる」と予想しています。

 

杞憂に終われば良いのですが、楽観視できる材料は非常に少ないのは事実です。

 

しかし、下を向いてばかりもいられません。

 

中小企業は手元運転資金が乏しく、新型コロナ関連の融資を受けてその場をつないでいますが、その資金も数カ月で溶けてしまうでしょう。

 

現在の環境がまだまだ続くという前提でビジネスモデルや収益構造を早急に見直さなければなりません。

 

「すべてのものは2度作られる」という有名なフレーズがあります。

 

7つの習慣の著者スティーブン・R・コビーの言葉です。「万物にはまず知的な第一の創造があり、それから物的な第二の創造がある。」と補足されています。

 

これは経営にも言えることです。

 

例えばコロナの影響で経営が行き詰っているのであれば、経営者自身がどうすれば良いのかを本気で向き合って考える。

 

頭も心も疲弊するまで考えて、方針や計画を策定する。

 

これが第一の創造です。「こうありたい」「こうでなくてはならない」という強い想いです。

 

そして、それを実行し、形にするのが第二の創造です。

 

無料経営相談でお越しになられる事業者様や支援先様の中でも、経営者がそもそも第一の創造を行わず、誰か(幹部や社員、外部コンサルタント等)に丸投げし、結果だけを求めるケースが散見されます。このようなケースでは第二の創造は起こりません。つまり、何も進まないということです。

 

まず何よりも経営者自身が「こうしたい」「こうありたい」と強く願い、理想のカタチを頭や心の中で創造することからすべてが始まります。

 

未曾有の危機だからこそ気付かされる機会、考える機会が与えられたと思います。現在の状況が数年続くと想定して、第一の創造から始めるべきです。

 

業績が悪化している企業の経営者の皆様はお盆休みに旅行も外食にも行かず、第一の創造を行ってください。

 

それではまた次回です。

補助金について

データから見るものづくり補助金

 

 こんにちは。中小企業診断士の木戸です。

 先日630日にものづくり補助金2次締切の採択結果が発表されました。全国5,721者の申請があり、採択3,267者(うち特別枠:1,773者、特別枠申請から通常枠:488者、通常枠:1,006者)でした。

 今年実施された1次締切と2次締切の申請および採択状況のデータが公表され、統計データが公表されています。公表データをもとにものづくり補助金で採択されるためのポイントを整理したいと思います。

 

【公表されているデータ】(ものづくり補助事業公式ホームページより)

①申請件数の推移

②事業計画の作成時間

③申請のタイミング

④申請者の規模(従業員数)

⑤申請者の業種

⑥補助金の申請額

⑦支援者の関与と報酬比率

⑧申請までの支援期間

⑨加点項目の数

⑩過去3年間の交付回数

 

1.事業計画

 まずは事業計画(審査項目)です。「⑦支援者の関与と報酬比率」より、支援者の関与がある企業の方が、採択率が高くなっています。特に“支援あり/報酬~15%”が最も採択率が高いです。

これは実績のある支援機関が報酬金額を<着手金1020万円+成功報酬10%+消費税>と設定していることが多いからと推測されます。

 例えば、設備投資1500万円(税抜)、補助金1000万円であれば、着手金15万円+成功報酬100万円+消費税11.5万円=126.5万円となり、補助金に対する報酬比率12.65%となります。

 

 支援を受けずに申請されている企業が一番多いのですが、事業計画作成の平均時間が70時間程度であることを考えると専門家に依頼し、採択される可能性を高めることをお勧めします。

 これは、経営者の方には早く採択されて早く事業に着手し、売上・利益、付加価値・生産性を上げ、会社を良くすることに多くの時間を使っていただきたいからです。

 

 

2.補助金の申請額

 次に補助金の申請額です。ものづくり補助金では審査項目に「補助事業として費用対効果(補助金の投入額に対して想定される売上・収益の規模、その実現性等)が高いか。」という項目があります。

 補助額が大きい計画(750万円超:採択率63.7%)の方が少額の計画(500万円以下:48.1%、250万円以下:26.8%)と比べると15.636.9ポイントの採択率に差があります。

 これは、少額の投入額で大きな効果を得られることもありますが、経済的な波及効果を考えると補助額が大きい方が投資対効果のインパクトが大きいのではないかと推測されます。

 

 

3.加点項目と過去3年間の交付回数

 上記1.で事業計画内容の重要性をお伝えしたのですが、加点項目に比例して採択率が高くなり、過去3年間の交付回数に比例して採択率が低くなっています。

 加点項目は、最低2つ(例えば、事業継続力強化計画と賃金引上げ2%または3%)を行い、3つ以上(残りの小規模事業者、創業5年以内、経営革新計画など)となると採択率は格段に高くなっています。

 過去3年間の交付回数による減点は仕方ないのですが、事業計画や加点項目にしっかりと取組むことで十分に採択される可能性は高くなります。

 当社がご支援させていただき採択された企業は約70%が複数回採択されている企業です。

 

 

 ものづくり補助金の申請を希望される企業様からのお問い合わせだけでなく、設備メーカーや設備商社の方から申請支援のご依頼をいただくことも良くあります。

 

 3次締切は8月3日と締切が近づいていますが、11月には4次、2月には5次締切がありますので、申請をご検討されている方や設備メーカーで納入先への支援を希望される方は当社までお問い合わせください。

新型コロナウイルス感染症 資本性劣後ローン 資金調達について

資本性劣後ローンとは(令和2年度第2次補正予算の概要)

皆さん、こんにちは。フラッグシップ経営代表、中小企業診断士の長尾です。

本日は令和2年度第2次補正予算を受けて発表された日本政策金融公庫の資本性劣後ローンについて解説したいと思います。

まず、資本性劣後ローンとはどういう融資制度かおさらいしましょう。

 

【資本性劣後ローンの特徴】

1.元金返済は最終期限で一括返済となります。よって、返済期限までは利息のみの支払となります。

2.金利か業績によって変動し、黒字の時は金利が高く、赤字の時は金利が低くなります

3.万が一会社が倒産した場合、資本性ローンによる借入金は、返済順位が他の債務よりも後になります。

資本性劣後ローンは金融機関が審査する際に借入(負債)ではなく、自己資本とみなすため自己資本の拡充の効果もあります。

 

この特徴から、あたかも投資家から出資を受けたような効果を得ることができるため「資本性劣後ローン」という名前になったのですね。

 

ただし、出資者にもいつかは返金しなければならないので、資本性劣後ローンは5年、10年、20年のいずれかに一括返済する契約を結びます。

また、その間に会社が倒産しても、返済順位は他の債務よりも劣後しますので、こちらも出資を受けたのと概ね同じイメージです。

 

このように、資本性劣後ローンは事業者側には多くのメリットがある分、一般的な資金調達よりもハードルは高いとお考え下さい。

 

それでは、これまでの資本性劣後ローンと令和2年度第2次補正予算で発表された資本性劣後ローンと比較してみましょう。

※以下、日本政策金融公庫の資料を一部加工しています。

 

日本政策金融公庫(国民生活事業部のケース)・・・比較的小規模な事業者が対象

 

【これまでの資本性劣後ローンと共通する点】 

 

 

 

【これまでの資本性劣後ローンと異なる点】

(注1)「新型コロナウイルス感染症特例リスケジュール支援」又は「再生計画策定支援」をいいます。

(注2)当初3年間は 1.05%。4年目以降は、直近決算の業績に応じて、貸付期間ごとに2区分の利率 適用されます。

(注3)ご融資後1年ごとに、直近決算の業績に応じて、貸付期間ごとに3区分の利率が適用されます。

 

 

 

 

日本政策金融公庫(中小企業事業部)・・・中堅規模の事業者が対象

【これまでの資本性劣後ローンと共通する点】 

 

 

【これまでの資本性劣後ローンと異なる点】

(注1)当初3年間は0.5%。4年目以降は、直近決算の業績に応じて、貸付期間ごとに2区分の利率が適用されます。

(注2)ご融資後1年ごとに、直近決算の業績に応じて、貸付期間ごとに3区分の利率が適用されます。

 

 事業規模によって、国民生活事業部か中小企業事業部に分かれますが、売上規模が数千万円から3~5億円程度までは国民生活事業が窓口、5億円を超える場合は中小企業事業部が窓口という感覚で結構かと思います。

 

事業規模の明確な線引きはないため個別ケースになりますので、悩ましい場合はご相談ください。

 

また、私の経験上、資本性劣後ローンは融資のハードルが高く、公庫が用意しているフォーマットを記入するだけでは全く相手にしてもらえません。

 

最初からしっかりとした事業計画(ビジネスモデルや将来展望に加えて、売上計画、財産計画、資金繰り計画も必要)を当社のような認定支援機関が策定することが資本性劣後ローンを速やかに実行する近道です。

 

また、資本性劣後ローンにつきましては経験や実績が求められ、多くの専門家は十分に資本性劣後ローンの制度を理解されていないと思いますので、ご興味がある場合は一度、当社にご相談ください。

当社は全国対応ですのでどこのエリアの事業者様でも対応させていただきます。

 

お問合せはこちらから

 

株式会社フラッグシップ経営

代表取締役 長尾 康行

 

 

組織・人材育成 考え方

新型コロナで苦しむ今だからこそ組織の活性化が必要 バーナードの組織成立の3要素

皆さん、こんにちはフラッグシップ経営代表、中小企業診断士の長尾です。

 

大阪では新型コロナの感染拡大は少し落ち着いており当社が事業所を構える本町でも日常を取り戻しているようにみえます。

 

しかし、まだ根本的に新型コロナの脅威が除去されたわけではありません。

 

引き続き、用心しながら各自がすべきことをしましょう。

 

さて、今回は組織に関係することをテーマにお話させていただきたいと思います。

 

当社の支援先様は中小企業もしくは零細企業ですので、組織といっても大企業のように部や課が明確に整備されているわけでもなく、管理職が部下の教育に力を入れているとは言えない企業もあります。

 

また、会社としても教育訓練制度や効果的な会議や面談を実施できていないところも多いのが実態です。

 

中には会社の仕組み云々ではなく、個人の資質に尽きるような話もありますが、大企業と比較して人材育成が十分でないケースが多いのは明らかです。

(もちろん、中小企業でも人材の採用や育成で成果を出されているところもありますので一概には言えませんが・・・)

 

組織について最近深く考えていたのですが、私はチェスター・I・バーナード(以下、バーナード)が著した「経営者の役割」という本に記載されている「組織成立の3要素」に問題解決のヒントがあるのではと思いました。

 

その3要素を紹介しましょう。

 

1.コミュニケーション

バーナードは伝達という表現を使用していますが、社員同士や経営者と社員がコミュニケーションをとらなくなると組織の機能が停滞すると説いています。また、特に言葉を交わしていなくても場の空気を読んで、何となく同意に至ることもコミュニケーションの一環だと言っています。コミュニケーションの量が多く、その質も高いと以心伝心のような効果が出てくるということでしょう。

 

2.貢献意欲

仕事は複数人で行うものなので、そこに貢献しようとする各自の意欲が不可欠だと説いています。忠誠心や団結心、組織力という単語で言い換えることもできます。ただし、貢献意欲をもって業務に取り組むのは少数の者だけだとも言っています。しかし、経営陣以外に少数でもそのような幹部や管理職がいると、中小企業は十分に組織力を発揮できるのではと思います。

 

3.共通目的

組織には何のために存在するのか、何をするのかを明確にしなければなりません。目的がなければ組織自体が不要になりますからこれは当然なのですが、目的を明示できていない企業は数多く見られます。

 

また、目的には協働的側面と主観的側面が存在し、協働的側面は組織で成果をだす目的のことで、主観的側面はひとりの人間としての働く目的のことです。

社員さんは生活が懸かっていますので「給料をもらう」という主観的側面は皆さんお持ちです。しかし、経営者が協働的側面である共通目的を明示できていない、もしくは浸透させることができていないために、社員さんの多くが協働的側面の目的を見出せないまま仕事をしているケースが多いのではと思います。

 

 中小企業では確かに個人の資質の問題ということもありますが、やはりリーダーである経営者が組織としての「共通目的」(目標・ビジョン)を考え、伝える(コミュンケーション)ことが重要です。

 

その中身や伝え方で、社員さんの「意欲」が上昇することもありますし、減退することもあります。

 

そう考えると「伝達(コミュニケーション)」「意欲」「目的」は相互に関連し、組織を動かしているといえます。

 

私は3要素を意識した経営を実践するために支援先様には経営方針書を作成し、1年に1回は全員でそれを共有する場(当社ではキックオフと呼んでいる)を設けるよう指導をしています。

 

経営者が方針書を作成し、その方針に沿って経営していくことを明確にすることが全てのスタートと考えています。

 

そして、皆がその方針に沿うように日々コミュニケーションをとり、各自が自分の長所を発揮する(貢献する)場づくりが組織の活性化には必要だと思います。

 

バーナードの3要素は半世紀ほど前の使い古された理論のような感じがしますが、今の日本の中小企業に欠けている重要な3要素だと思います。

 

株式会社フラッグシップ経営代表 長尾康行(中小企業診断士)

経営方針書

経営方針書~社長の思いや考えを明文化する~

 

こんにちは。中小企業診断士の木戸です。

 

新型コロナウイルス感染症の影響がいつまで続くのか、先行きの見通しがたたない今だからこそ、自社の目標を定め、社内のベクトルをそろえて、一丸とならなければなりません。

 

しかし、経営方針書などを作成し、社内で公表、周知徹底している企業は多くありません。

 

平時から経営方針書の作成、試算表・資金繰り表による財務・収支状態の把握、会議体の見直し、社内のコミュニケーション促進などに取り組んでいる企業は今般の新型コロナウイルス感染症など有事の際にも迅速に借入申込や給付金申請ができ、速やかに本業の立て直しに移行することができます。

 

また、業績が低下して不安な思いをしている社員さんに対しても具体的な方針、対応策を示すことで、安心して働くことができます。

 

 

本日は、経営方針書作成の流れと作成後の取り組みについて、簡単にご説明いたします。

 

 

まず、社長が経営方針書の必要性を認識しなければなりません。経営コンサルタントや取引金融機関から言われて作成するものではありません。当社は、当社がやっていることをお見せするスタンスでご支援いたします。

 

①経営方針書の作成に至った社長の思いや経営理念を明文化する

きれいな文章にすることは難しいのですが、社長が大切にしていること、キーワードなどから考え、社長の頭の中にあることを明文化します。自分以外の誰かに伝えるためには明文化しなければなりません。

 

②事業概要を整理する

こちらも社長や役員、経営幹部の方々が感覚的に把握していることが多いのですが、売上割合、仕入割合、取引先、仕入先、外注先、組織図などを整理します。実際に整理してみると売上割合(取引先別や事業別など)が思っていたのとズレがあることもあります。

 

③環境分析、ポジショニング分析を行う

自社の強みや弱み、業界の機会や脅威の分析や、市場でのポジショニングの分析を行います。社長や役員だけでなく幹部、現場リーダー、事務スタッフなど多様な目線で環境分析を行うこともあります。

 

ここまでは現状の分析、把握です。ここからは、会社の将来について考えます。

 

5年後、10年後どのような会社になっていたいかを考える

社長の経営理念をもとに自社のあるべき姿、将来の顧客と提供する商品・サービスなどを考えます。自社のあるべき姿が定まれば、未来から逆算して達成ルートや達成方法を考えます。これをビジョンアプローチと呼びます。

 

⑤3~5年の財務目標を立てる

損益計画だけでは資金の流れがわからないため、財産計画やキャッシュフロー計画も立てます。財務目標は売上拡大にこだわり過ぎず、利益やキャッシュフロー、付加価値、給与支給額などを重視します。

 

⑥目標を達成するための今期の方針、具体的な取組みを検討する

営業戦略、組織体制、人材採用・育成、資金調達、経営管理体制(会議体、経営幹部)、IT化推進などあるべき姿や財務目標を達成するための今期の方針、具体的な取組みを検討します。社長や役員が責任者となるのではなく、内容によっては現場リーダーや担当者を責任者とし、管理させることは社員教育にもなります。

 

⑦経営方針書のキックオフミーティング

経営方針書は作成するだけでは何の意味も持ちません。社内で公表し、周知徹底することでその意味が高まります。公表の場として貸会議室やホテルなどでキックオフミーティングを開催することをお勧めしています。キックオフミーティングには、社員だけでなく、ご家族やビジネスパートナーなども参加されるケースもあります。(当社もオブザーバーとして参加いたします)

 

⑧計画の実行と見直し、来期の計画策定

キックオフミーティングで周知した取り組みを実行し、適時見直しを加えます。毎月のご訪問時に計画のモニタリング、予実管理、軌道修正を行い、決算が近づけば来期の計画を作成します。初年度から完璧な方針書作成はできないので、何年もかけてブラッシュアップします。

 

 

今般の新型コロナの影響で目下の資金繰り、売上確保などに対応していると、会社の将来を考える時間や余力を持つことは難しいかもしれません。

 

しかし、何かを始めるのに遅すぎることはありませんので、今期からでも経営方針書の作成を検討されてみてはいかがでしょうか。

新型コロナウイルス感染症 経営改善について 資金調達について

令和2年5月27日 経済産業省関係 令和2年度第2次補正予算案のポイント

皆さんこんにちは。中小企業診断士の木戸です。

新型コロナウイルス感染症関連の経済対策情報は日々新しくなっています。

今回は第2次補正予算案についてです。

 

令和2527日時点でのまとめ、以下、経済産業省HPからの情報を引用

 

1.資⾦繰り対策 【109,405億円】

①⽇本政策⾦融公庫等による実質無利⼦融資の継続・拡充(中⼩・⼩規模事業者向け)【55,683億円】

・⽇本政策⾦融公庫及び商⼯組合中央⾦庫(危機対応融資)等が「新型コロナウイルス感染症特別貸付」等を継続し、さらに貸付上限額と利下げ限度額の引き上げを実施。

②⺠間⾦融機関を通じた実質無利⼦融資の継続・拡充(中⼩・⼩規模事業者向け)32,375億円】

・都道府県等による制度融資を活⽤した⺠間⾦融機関の実質無利⼦融資を継続し、さらに融資上限額の引き上げを実施。

③資本性資⾦供給・資本増強⽀援(中⼩・⼩規模事業者向け)【12,442億円】

・⻑期⼀括償還の資本性劣後ローンを供給するとともに、中⼩機構出資の官⺠連携のファンドによる出資や債権買取等を実施。

④危機対応融資及び資本性劣後ローン(中堅・⼤企業向け)【8,905億円】

・⻑期・低利の融資を実施するとともに、財務基盤が悪化している事業者に対して、資本性劣後ローンを供給。

 

2.持続化給付⾦ 【19,400億円】

・新型コロナウイルス感染症の拡⼤により⼤きな影響を受けている事業者に対して、事業全般に広く使える給付⾦を⽀給。⾜下の状況等を踏まえ積み増し。

 

3.家賃⽀援給付⾦ 【2242億円】

・新型コロナウイルス感染症を契機とした5⽉の緊急事態宣⾔の延⻑等により、売上の急減に直⾯する事業者の事業継続を下⽀えするため、地代・家賃の負担を軽減することを⽬的として、テナント事業者に対して給付⾦を⽀給。

 

4.中⼩企業⽣産性⾰命推進事業による事業再開⽀援 【1,000億円】

・業種別ガイドライン等に基づいて中⼩企業が⾏う、事業再開に向けた消毒設備や換気設備の設置などの取組を⽀援。

 

5.中⼩・⼩規模事業者向け経営相談体制強化事業 【94億円】

・各市町村へ専⾨家を派遣し、中⼩・⼩規模事業者からの相談に対応する体制を整備。また、商⼯会・商⼯会議所の相談受付体制を強化。

 

6.感染症対策関連物資⽣産設備補助事業 【22億円】

・抗原検査機器やN95マスク等のニーズが⾼い物資について、⽣産設備の整備・増強に係る費⽤を補助し、国内における供給の拡⼤を図る。

 

 

当社からのアドバイス

 中小企業白書によると負債が資産を上回っている「債務超過」の中小企業は33.4%(2016年)あり、その割合は減少傾向にあります。しかし、リーマンショック後には債務超過企業の割合は増加していました

 

新型コロナの感染拡大によって、多くの中小企業は売上高が減少し、赤字となれば純資産が薄い企業は一気に債務超過に陥る可能性があります。債務超過となると金融機関からの資金調達はハードルが高くなります。(全くできないわけではありません。)

 

今回の2次補正予算を踏まえたうえで、資金繰りを改善する方法を3つご紹介します。

 

(1)債務超過に陥る前(今期中)に来期以降も見越して資金調達する

日本政策金融公庫、商工組合中央金庫等の特別貸付の貸付限度額や利下上限額が引き上げられています。また、都道府県等による制度融資を活用した保証協会付き融資の保証料減免や利子補給についても上限が引上げられました。

既に資金調達をされた方も追加で借入をして、とにかく手許キャッシュを潤沢にすることで、コロナ渦に対応します。

 

(2)過度な借入を行う前にリスケジュールする

既に資金調達をした企業や一定の売上があり、借入金の返済さえなければ資金繰りが回る状態であれば、リスケジュールにより毎月の元金返済を軽減またはストップすることも選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。

リスケジュールだけは避けたいと考える経営者は多いと思いますが、今、債務を必要以上に増やしてしまうとコロナ渦後の再生時に過大な債務が足かせとなる危険性もあります。

この場合は、経営改善計画策定および実行支援とセットで検討しましょう。助成金の活用ができれば認定支援機関の支援を受けながら、計画策定が可能です。

 

(3)資本性劣後ローンの活用による(みなし)自己資本の増強

資本性劣後ローンという名前はあまり聞きなれないことがかもしれませんが、⽇本政策⾦融公庫、商⼯組合中央⾦庫では、⾦融機関が資本とみなすことができる⻑期⼀括償還の資本性劣後ローンを取り扱っています。金融機関が自己資本とみなすことによって、民間金融機関からの金融支援も期待できるため、資金繰りが劇的に改善されることもあります。

 

ただし、資金調達は一時的な対策でしかありません。 

 

今、経営者は何を考え、何を意思決定し、何を実行しなければならないのか。

 

また、自社にとって必要な支援は一体何なのか。

  

当社では、業界歴20年のコンサルタントと金融機関出身のコンサルタントが、資金調達や経営改善計画書策定および資本性劣後ローンでの調達など金融支援から経営改善支援まで一貫して対応させていただきます。

新型コロナウイルス感染症 考え方

新型コロナがもたらした「気付き」

 皆さん、こんにちは。フラッグシップ経営代表、中小企業診断士の長尾です。

 

新型コロナの感染拡大はピークアウトしたと見られ、緊急事態宣言は解除されました。今後は第二波、第三波の脅威に注意しながら、徐々に経済活動を再開させていかなくてはなりません。

 

しかし、今後も多くの懸念材料があります。帝国データバンクの見通しでは今年の倒産件数は1万件、倒産はしないが休業や廃業に追い込まれる事業者の件数は2万5千件にのぼるとのこと。

 

この見通しが現実になると失業者はリーマンショック後の100万人を上回り、250万人とも300万人にも上ると予想されています。

 

 当社といたしましては1社でも倒産件数を減らすこと、失業者を発生させないことを重点目標にファイナンスから営業戦略まで幅広く、迅速に、結果が出るまで支援をしていきたいと考えています。

 

ただ、最悪の事態を想定するのは決して悪いことではありませんが、悲観ばかりもしていられません。経営も人生も続く以上は目の前の壁を越えていかなければならないのですから。

 

私は考え方によってはチャンスだと思っています。この新型コロナの影響で気付いたことや脆弱だった仕組みなどが浮き彫りになったからです。

 

今ある売上やお客様は決して当たり前ではない。雇用が守られているのも、働きに行く場所があるのも全て当たり前ではなかったという考え方をするのはどうでしょうか。

 

新型コロナがあろうとなかろうと30年で生き残る企業は1,000社に2社しかありません。998社は新型コロナに関係なく消滅しているのです。

 

消滅する理由は様々ですが、そのほとんどが時代の変化や顧客のニーズの変化に対応できなかったことというデータもあります。本来であればこのようなことは何年も何十年も経過して気付くことですが、新型コロナの脅威はたった2か月でいかに自分たちの経済基盤が脆弱であったかを示してくれました。

 

 劇的に環境が変化しましたので、様々なことに気付かされた方も多かったでしょう。

 

これまでは変化を嫌い、新しい取り組みを否定し、今日も明日もお客様が来店されるはずだと思い込んでいたかもしれませんし、いつもどこかで「なんとなるだろう」と慢心があったかもしれません。

 

会社が30年続かない理由はそこにあると思うのです。

 

新型コロナウイルスは確かに甚大なダメージを我々に与えました。しかし、2カ月という極めて短い期間で大きく環境が変化したために、我々は反応する機会があったことは不幸中の幸いです。

 

恐ろしいのは変化している事に気づかないことです。

 

私はアフターコロナを見据えて重要なのは、自粛期間や緊急事態宣言中に知恵を出して生き残ろうと変化を恐れずに対応しようとした努力を継続することだと考えています。

 

新型コロナは経営者や事業者に「環境の変化に対応しなければならない」という最も基本的でありながら難しい考え方を改めて気づかせてくれたのかもしれません。

 

株式会社フラッグシップ経営

代表取締役 長尾康行(中小企業診断士)

新型コロナウイルス感染症 資金調達について

2次補正予算案のポイント 資本性資金とは

皆さんこんにちは、中小企業診断士の木戸です。

 

日々、新型コロナウイルス感染症に関する支援策などの情報が更新されています。

経営者の皆様は、日頃の業務に加えて、社内外の対応でご多用とは存じますが、

支援情報を集め、自社で活用できる支援策は積極的に活用しましょう。

 

政府・与党は、追加経済対策として2次補正予算案を令和2527日までに閣議決定し、

今国会中(令和2617日まで)の成立を目指しています。

 

これまでの企業向け支援は、日本政策金融公庫などの緊急融資や保証協会の

セーフティネット保証、危機関連保証での資金繰り支援や給付金などが中心でしたが、

2次補正予算案には、資本性資金の供給が盛り込まれています。

 

<参照>

“大企業から中堅・中小企業に至るまで、資金繰り支援の更なる充実に加え、

必要があれば機動的に十分な規模の資本性の資金を投入することも可能とし、

事業の存続を強力に下支えします。”

「新型コロナウイルス感染症に関する安倍内閣総理大臣記者会見」

                             (令和2514日より抜粋)

 

資本性の資金とは、『資本性劣後ローン』のことで、

内容については過去の当社ブログ(資本性劣後ローンとは)をご覧ください。

 

金融庁が平成2311月に「『資本性借入金』の積極的活用について」を公表して以降、

活用状況は増加しているようですが、多くの中小企業にとっては馴染みの薄い融資です。

 

当社からのアドバイス

 

 資本性劣後ローンでの資金調達は増資に近い意味合いを持つため、

①自己資本比率の改善や金融機関の追加融資を受けやすくなることや

②期日一括返済のため資金繰りが改善されることなどの

メリットがあると言われています。

 

しかし、金融検査上、資本に準じた取扱いをするとは言え、

『資本性劣後ローン=本当の自己資本』ではないため、

中小企業からするとやはり借入金です。

また、通常の融資と比べると高い金利設定となっており、

融資期限前の返済も原則できません。

 

通常の融資と使い分けることで非常にメリットのある資本性劣後ローンですが、

事業計画が出来ていない(または甘い)状況で融資を受けることは

リスクが高いと考えています。

 

資本性劣後ローンは融資期間が5年超15年以内の長期間にわたる融資です。

経営が計画通りに進むことは稀ですが、資本性劣後ローンを受ける場合は、

しっかりと事業計画書を作成し、融資期限が到来するときに返済できる準備が大切です。

 

当社は認定支援機関として約8年前から資本性劣後ローンの事業計画書策定を

支援しており、ノウハウを蓄積しています。

 

資本性劣後ローンを活用することで、

資金繰りが劇的に改善されることもありますので、気になる方はご連絡ください。

 

>>お問い合わせはコチラから

新型コロナウイルス感染症 考え方

二の手、三の手はあるか

皆さん、こんにちは。フラッグシップ経営代表、中小企業診断士の長尾です。

 

「銃を突きつけられていても146通りの対処法がある。」

 

私が見ているアメリカの弁護士を描いたドラマ「SUITS」のハーヴィ・スペクターのセリフです。

 

逆境に陥っても必ず対処法はある。それが分からなければ弁護士はできないというような会話の流れだったかと思います。

 

現在、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために、多くの企業や商店で甚大な被害が出ています。

 

外出の自粛、行政が業種を特定した営業自粛要請などで業績や資金繰りが急激に悪化している企業が激増しています。

 

しかし、不安になっていても問題は解決されません。

 

特に経営者は会社や社員を守る責任もありますので、対策を講じなければなりません。

 

また、私共のような中小企業診断士、経営コンサルタントなどの士業も事業者と同じ目線に立って知恵を絞なければなりません。

 

現在は経営者や専門家の多くが国や行政、金融機関からの給付金や融資を受けるために奔走しています。

 

しかし、大半の企業や商店は数か月(早ければ1か月)でその資金はなくなると推察されるので、資金注入した直後から二の手、三の手を素早く打たなければなりません。

 

国や行政に文句を言う、圧力をかけるというのも一つの手ですが、経営者ならあるいは専門家なら知恵を絞って会社と社員を守るために動かなければなりません。

 

「銃を突きつけられていても146通りの対処法がある。」

 

仮に146通り対処法が分からなかったとしても、

 

「今、できることは何か?」

「今、すべきことは?」

「将来のために考えるべきことは?」

「コロナが終息した時に、スタートダッシュを切るためには?」

 

そう考えるのが、経営者や専門家ではないかと考えます。

融資や給付金ばかりに目先が行き、行政の対応に文句を言う気持ちも分かりますが、自社の経営について突き詰めて考る絶好の機会です。

 

厳しい言い方をすれば、今、資金調達で苦戦しているというのは新型コロナの影響とは関係なく業績が悪かった、数値管理や経営者がすべき業績や資金繰りの管理を怠っていたのどちらかです。

 

これを機に、その辺りも考えてみてはどうでしょうか。

 

ちなみに当社が今、売上0になったらどうするか。

 

少なくとも私は社員に「銃を突きつけられていても146通りの対処法がある。」とまでは言いませんが、「心配するな、打つ手ならいくらでもある。俺を見くびるな。」と言います。

 

そして、それから打つ手を考えます。

 

家で問題が起こっても同様の言い方をします。

 

申し上げたいことは経営者なら最初から誰かに助けてもらうという発想ではなく、自分で必ず出口を模索するという気構えと行動力は絶対に必要だということです

 

エネルギーの多くを国や行政に対する不平不満に費やしてはいけませんし、国が助けてくれるだろうという期待も過度にしてはいけません。

 

また、あきらめてもいけません。

 

経営者も専門家も今こそ、自分の力量を示す時です。

 

資金調達や給付金は瞬間的なドーピングです。

 

すぐに二の手、三の手を考え、実行に移していきましょう。

新型コロナウイルス感染症 資金調達について

2020年4月8日 経済産業省関係令和2年度補正予算案のポイント 資金調達編

皆さん、こんにちは。株式会社フラッグシップ経営の長尾です。新型コロナウイルス関連の情報ですが、日々アップデートされていますので中小企業の経営者様に置かれましては、情報収集に努め、自社に適用できる制度は十分に活用するようにしましょう。

 

2020年4月8日時点でのまとめ 以下、経済産業省からの情報を引用

 

Ⅰ.資⾦繰り対策 【3兆7,485億円】(事業規模35兆円超)

1.⽇本政策⾦融公庫・商⼯組合中央⾦庫等による実質無利⼦融資の継続・拡充

(1)⽇本政策⾦融公庫・商⼯中⾦等の低利融資と特別利⼦補給制度による、実質無利⼦・無担保・据置最⼤5年の融資について、12.6兆円の融資枠を確保。

(2)新型コロナウイルス対策マル経(別枠1,000万円)も利⼦補給の対象に追加。

 

【新型コロナウイルス感染症特別貸付】
・対象事業者 売上⾼▲5%以上減少等
・当初3年間基準⾦利▲0.9%(中⼩・危機1.11%→0.21%、国⺠1.36%→0.46%)
・利下上限額 中⼩事業・危機対応融資1億円、国⺠事業3千万円

【特別利⼦補給制度】
・⼀定の要件の下、当初3年間利⼦補給により実質無利⼦化

 

2.都道府県による制度融資を活⽤し、実質無利⼦融資を⺠間⾦融機関まで拡⼤

(1)融資窓⼝の拡充の観点から、都道府県等による制度融資を活⽤して、⺠間⾦ 融機関にも実質無利⼦・無担保・据置最⼤5年の融資を拡⼤。

(2)セーフティネット保証、危機関連保証について要件を満たせば保証料ゼロ。 

(3)⺠間⾦融機関による実質無利⼦融資等について、24.2兆円の融資枠を確保。

 

【信⽤保証料の減免】

・セーフティネット保証4号、5号、危機関連保証について、⼀定の要件 の下、保証料をゼロ⼜は1/2に減免(上限3,000万円) 【都道府県による制度融資を通じた利⼦補給】

・都道府県に対する補助(定額)を実施し、⼀定の要件の下、制度融資 を通じた利⼦補給により当初3年間実質無利⼦化(上限3,000万円)

 

3.既往債務の実質無利⼦融資への借換にも対応

既往債務に係る負担軽減のため、実質無利⼦融資への借換を可能に。

 

【既往債務の借換】

・⽇本政策⾦融公庫等による既往債務を実質無利⼦融資に借換可能とす る(実質無利⼦融資の上限の範囲内)

・⺠間⾦融機関の信⽤保証付き既往債務を制度融資を活⽤した実質無利 ⼦融資に借換可能とする(実質無利⼦融資の上限の範囲内)。

 

 

当社からのアドバイス

資金繰りが悪化していおり、3,000万円程度の融資を希望する場合は、日本政策金融公庫に申し込むべきでしょう。

 

一般の金融機関は保証協会との連携もあるので時間がかかるし提出書類も多い可能性あり(このご時世で、あれ出せこれ出せは少ないと思うが)。

 

そして、既に日本政策金融公庫との取引がある場合はその借入も無利子へと借り換えを行う。日本政策金融公庫で資金注入をして、資金繰りを落ち着かせてから、固定費の削減や営業の見直しなどの経営改善に入る。

 

それでも資金繰りが厳しい時は、民間金融機関の融資を検討。

 

その際は4号、5号ではなく危機関連保証を検討。4号認定は5号認定と同じ枠を使用しますので、コロナが落ち着いてからのセーフティネットの役割として可能であれば枠を空けておきたいのが本音です。

 

また、これを機に数値管理ができていない企業においては数値管理をしっかりとすること。

 

まずは、試算表を毎月作成する癖をつける。

 

厳しい言い方をすれば3月の時点で資金繰りが厳しいというのはコロナの影響だけではなく元々、財務状態が脆弱であったと推察されます。

 

「どんぶり勘定」「その場しのぎ」の経営をしていなかったか、過去を振り返り経営に対する姿勢を改めることです。融資を申し込むのであれば、最低限必要になる資料もありますので、有事に慌てないためにも平時から管理をしておくことです。

 

金融機関や行政に対して急かすのであれば、自分もしっかりと準備する。当たり前の話です。

 

この難局を乗り越えるために、事業者、金融機関、行政、専門家が一体となり各自が責任をもって取り組みましょう。

 

 

株式会社フラッグシップ経営 代表取締役 長尾 康行