新事業進出補助金の最新情報!全国2位の専門家が解説

橋本 大治

執筆者橋本 大治
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1999年10月24日生まれ/大阪府出身/大学卒業後、現職/趣味は筋トレ、剣道/座右の銘「なんとかなる」/「頑張っているが結果が出ない、頑張り方がわからない方々の手助けがしたい」という思いから「努力した人(企業)が報われる社会を目指す」という信念で支援を行っている。

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新事業進出補助金

2025年の補助金に関する経済産業書の予算が公開され、注目の補助金として【新事業進出補助金】が上がっています。全国で多数の事業者が利用した事業再構築補助金の後継補助金として実施が予定されております。予算額は1,500億円と発表されており、多数の利用が見込まれる2025年注目の補助金です。

本稿では事業再構築補助金の支援実績が全国2位である専門家が公募開始前の【新事業進出補助金】について徹底解説を行います。今から準備を行い、補助金を有効活用した成長投資を進めましょう。

 

新事業進出補助金とは

新事業進出補助金とは中小企業の成長につながる新事業進出・構造転換への投資を支援する補助金です。事業再構築補助金の後継という位置づけで補正予算案に盛り込まれており、制度内容も事業再構築補助金をベースとしながら改めて整備したものとなる見通しです。予算額は1,500億円となっており、多数の利用が見込まれます。

 

申請対象となる企業は【中小企業】

申請対象となる企業は12月25日に中小機構が公開した情報では【中小企業者】となる見込みです。しかし、事業再構築補助金と同様に【中堅企業者】が対象となる可能性もございます。中堅企業者の定義については業種を問わず、資本金額が10億円未満かつ、常勤する従業員数が2,000人以下の企業となります。中小企業の定義については業種毎に異なります。自社の属する業種と資本金額、常勤する従業員数を基準に下表の通りとなります。

 【中小企業者の定義】

中小企業

※「みなし大企業(親会社が大企業などの要件あり)」に該当する場合等、一部の条件では対象外となる可能性があります。

 

申請対象となる取り組みは「新たなニーズへの対応」

申請対象となる取り組みは「新たなニーズへの対応」であり、既存事業とは異なる事業の開始や新たな製品の開発・生産・提供を行うことです。事業再構築補助金では経済社会の変化に対応するための思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等の挑戦を支援することで、日本経済の構造転換を促すことが目的とされていました。このため、申請対象となる取り組みについてもターゲットとするニーズや提供する製品が既存とは異なることが求められます。事業再構築補助金では新たなニーズに対して新たな製品や事業を展開していくものが対象となりました。新事業進出補助金においても「新たなニーズへの対応」が重要となる見込みです。

申請の要件は【賃上げ】と【生産性の向上】!

申請の要件としては「賃上げ」や「生産性(付加価値額)向上」が求められます。
2024年12月18日に中小機構より公開された情報では最低賃金の引上げ及び付加価値の増加が要件として確定しており、別途賃上げ要件が規定される予定となっております。
 
【基本要件】
下記の要件を満たす3~5年の事業計画に取り組むこと
・企業の成長・拡大に向けた新事業への挑戦であること
・付加価値額の年平均成長率を4.0%以上増加させること
・事業所内最低賃金が地域別最低賃金+30円以上となる水準に引き上げること
・給与支給総額の年平均成長率を2.5%以上増加させること
・次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を公表すること

新事業進出補助金の補助条件

事業再構築補助金の後継という点から補助上限は全国の補助金の中でも比較的大きくなることが予想されます。また、補助対象経費についても対象範囲は広く、利用しやすいものになると予想されます。

補助対象経費

補助対象経費は「建物費」「機械装置・システム構築費」「技術導入費」「専門家経費」「運搬費」「クラウドサービス利用費」「外注費」「知的財産権等関連経費」「広告宣伝・販売促進費」となります。建物費については対象経費となる補助金が全国でも少数のため、思い切った事業展開に向けて有効な補助金となるでしょう。注意点としては建物費を計上する場合、新規事業と既存事業の境界線や区別を明確に付ける必要があります。工場全体の改修工事などを行う場合は補助対象となる金額が限定される可能性がございます。

補助率は1/2

補助率は1/2となります。

補助上限は最大9,000万円

 補助上限は最大9,000万円となります。従業員数によって補助上限が異なり、大幅な賃上げに取り組む事業者は括弧内の補助上限に引き上げられます。

従業員数補助上限
20人以下2,500万円(3,000万円)
21人~50人4,000万円(5,000万円)
51人~100人5,500万円(7,000万円)
101人以上7,000万円(9,000万円)

 ※大幅な賃上げとは事業終了時点で①事業場内最低賃金+50円、②給与支給総額+6.0%を達成する場合です。

賃上げ要件の達成方法

最低賃金+30円以上の水準

 事業所内最低賃金が地域別最低賃金+30円以上となる水準に引き上げる要件を満たすためには全従業員を時給換算した際に、地域の最低賃金より30円以上高い状態にしておく必要があります。全従業員には正社員だけでなくパートやアルバイト、技能実習生等も含まれます。月給等、時給制を採用していない場合は所定労働時間等から時給換算して確認します。3~5年の事業計画期間において、新たに採用を行った従業員も対象とし、全社員を+30円以上の状態とすることが求められます。満たさない場合は補助金が返還になるリスクがあります。要件の確認は賃金台帳等を用いて確認されます。毎年、10月頃の最低賃金改定のタイミングで地域最低賃金が引上げられた場合は引上げられた金額から+30円に追従して引き上げる必要があります。

【表:最低賃金要件の考え方】

現在

1年後

2年後

3年後

地域(法定)最低賃金

930

940

950

960

社内最低賃金

980

980円(

980円(

980円(

要件を満たす最低賃金

960円

970円

980円

990円

※ いずれか1年でも満たしていない場合は補助金返還の対象となります。

給与支給総額の年平均成長率を2.5%増加

 給与支給総額とは会社全体で支給している給与の合計金額であり、3~5か年の事業計画において基準年度から比較して最終年度が年平均成長率3.0%以上の数値となっていることが求められます。年平均成長率は複利計算を採用しており、3年間で約9.3%以上、5年間で16.0%以上の賃上げが求められます。給与支給総額とは役員報酬、給与、雑給、賞与等の合計金額です。このため、毎年の昇給だけでなく、新規採用や業績に応じた賞与の支給による達成も含まれます。こちらも満たさない場合は補助金返還のリスクがあります。
 

【表:給与支給総額の年平均成長率要件の考え方】

基準年度

1年後

2年後

3年後

①役員報酬

10,000,000

10,000,000

10,000,000

10,000,000

②賞与

5,000,000

5,000,000

5,000,000

5,000,000

③給与

25,000,000

25,500,000

26,000,000

28,500,000

支給総額
(①
++③)

40,000,000

40,500,000

41, 000,000

43,500,000

【要件】
支給総額の成長率

比較対象

●と比較して
1.25%増加
平均2.5%増加(✕)

●と比較して
2.5%増加
平均2.5
%(✕)

●と比較して
8.7%増加
平均2.5%以上(〇)

※成長率の計算は複利計算を採用します。
※成長率の達成は毎年ではなく、計画最終年度に平均成長率2.5%を満たしていれば補助金返還は求められません。

【表:計画期間別の給与支給総額の増加目安】

計画期間3年4年5年
基準年度からの増加率7.70%以上10.39%以上13.15%以上

 

事業再構築補助金からの変更点と注意点まとめ

事前着手の廃止

 事業再構築補助金の後継として予定されている新事業進出補助金ですが大きな変更点として事前着手(採択前の発注)制度が完全に廃止される見込みです。事業再構築補助金では一定の条件を設けた事前着手が認められておりましたが新事業進出補助金では交付決定後の発注のみが対象となります。

投資下限額の設定

 新事業進出補助金では投資下限額が設定される見込みです。補助下限額が750万円と公開されており、補助率1/2であることを鑑みると最低投資額は1,500万円となります。

最低賃金引き上げの基本要件化

 前段でご説明した通り、最低賃金の引上げが基本要件化しました。再構築補助金では補助上限の引き上げを行う場合のみ求められた最低賃金の引上げですが新事業進出補助金では事業所内最低賃金を地域別最低賃金+30円にすることが必ず求められます。

 

公募スケジュール

申請期限(初回は2025年4月見込み)

2025年度で複数回の公募が予想されますが初回の申請期限は20254月頃となる見込みです。具体的な公募情報は20252月頃に公表される見込みですが公募内容の精査を含め、非常に短期間での申請準備となりますので今から準備を進めましょう。

採択発表(初回は2025年7月見込み)

初回の採択発表は20257月頃となる見込みです。採択発表までには口頭審査が実施される可能性があります。

対象経費の発注(初回は2025年9月見込み)

対象経費の発注が可能となるタイミングは早くとも9月頃となる見込みです。採択後は交付申請の手続きを行い、交付決定後に発注が可能となります(事前着手制度は廃止)。しかし、事業再構築補助金では交付申請手続きが長期化する傾向にありました。このため、採択発表後、迅速にお手続きを行った上でも最短で9月頃の発注になることを見込んでおく必要があります。また、投資内容などによって発注可能なタイミングは大きくずれ込む可能性がありますのでご注意ください。

乗り遅れないための公募開始に向けた準備

新事業進出補助金は大型の投資となることが想定されるため、公募要領の確認等を含めて入念に準備を行った上で臨む必要があります。初回公募においてはネットの情報量としても限定的であり、公募要領の読み込みが必要になることを鑑みると申請までの期間はタイトになります。このため、現段階から前持った準備を進めていきましょう。

新製品の開発や新規事業の展開を検討する

新事業進出補助金では新製品の開発や新規事業の展開が対象事業となるため、顧客ニーズや経営状況から今後の事業展開を検討することが第一歩となります。自社がどのような事業展開を行っていくのか経営戦略を整理しましょう。事前に経営戦略を整理することで申請に必要となる事業計画の策定もスムーズになり、採択にも繋がりやすくなります。

投資計画を立てる

大きな補助が受けられる一方で、補助金は入金までに長い時間を要する点や発注のタイミングが制限されるため、投資計画を立てておく必要があります。投資が必要となる時期によっては補助金のスケジュールでは導入が間に合わない可能性があるため、発注の時期について注意が必要です。また、補助金は入金まで投資資金を全額立替えておく必要があり、長い場合は入金までに1年以上を要します。このため、投資資金の準備と資金繰りについても計画しておく必要があります。

申請に必要なIDを取得する

補助金の申請にはGbiz IDが必要になるケースが多く、新事業進出補助金においてもGbiz IDの取得が必須になるでしょう。また、採択に向けた加点要素の申請にもIDを要する可能性がありますので公募開始時点では取得しておくことが望ましいです。IDの取得手続きは現時点から可能であり、取得までに数週間を要する場合もありますのですぐにID取得を進めましょう。

 

【電子申請IDGビズID)の取得方法】

下記URLの外部サイトより手続き可能

https://gbiz-id.go.jp/app/rep/mne/mai/show

 

 ≪申請準備物≫

 ・企業代表者様のマイナンバーカード

 ・Gビズアプリ(下記URLよりダウンロード可能)

https://gbiz-id.go.jp/top/app/app.html

 

 ※マイナンバーカードが未取得の場合、印鑑証明書の郵送により取得可能です。

申請支援者を探す

新事業進出補助金の申請に向けては現時点から申請支援者を検討していく必要があります。事業再構築補助金は直近公募での採択率が全国平均で26.5%(7,664社の応募に対して2,031社の採択)でした。利用メリットが高い補助金のため、応募が殺到した点や外部専門家の申請支援が一般化していることからも競争倍率は非常に高くなっております。また、公募情報の精査についても非常に手間がかかるため、現段階から支援者を検討しておくことをオススメします。既に一部の専門家は依頼を受け付けております。事業再構築補助金の後継という点からも事業再構築補助金における実績が豊富な支援機関が良いでしょう。

 

橋本 大治

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