経営改善について 考え方

売れる商品・サービスを消費者に届ける活動は普遍

皆さん、こんにちは。フラッグシップ経営代表、中小企業診断士の長尾です。

 

先日、いただいたクッキーを家で食べていると、とても美味しかったので思わず包装紙の裏を見て製造元がどこか確認してしまいました。

 

このクッキーは大阪のホテルの中にあるスイーツショップのクッキーということは事前に知っていたのですが、製造元を見ると社会福祉法人の名前が載っていました。

 

社会福祉法人は障がい者の方の就労支援を行っている場合が多く、この社会福祉法人もやはり、就労支援を行っていました。

 

私がとても美味しく、思わず製造元を確認したクッキーは障がい者の方の就労支援業務として製造したクッキーだったのです。

 

もちろん、ホテル内のスイーツショップに採用されていることからもホテルやパティシエの協力があったと推察されますが、いずれにせよ「人にあげたい」「とても美味しい」と思うクオリティだったということです。

 

中学生の時に同じような社会福祉法人の就労現場を見学に行ったことがありましたが、その時は誰も購入しないような革のキーホルダーを作っていた記憶があります。

 

また、この仕事を始めてから2社ほど社会福祉法人の支援を行ったことがありますが、その時も木製の飾り物やキーホルダーを作成していたと思います。

 

障がいの程度にもよると思うのでしょうが、あくまで私が見た就労支援の現場は「売れる商品」を作るのではなく「できること」をしていただくというスタンスが多かったような気がします。

 

一方でクッキーを製造している社会福祉法人はホテルに納めるようなクッキーを製造し、食べた方も「おいしい」「買いたい」と思わせる商品でした。

 

売れるモノを売れる場所で提供するという商売の原理原則を実現していて凄いなと感じました。

 

 社会福祉法人に限らず、この原理原則は一般の企業でも全く同じだと思います。

 

私どもには年々売上が低下している企業や十分な売上を確保できていない企業から絶えず相談が来ますが、売上が増加しないのは商品やサービスそのものに魅力(価格面や機能面、購入までのプロセスなど)がないか、そもそも自社の商品やサービスが認知されていないかのどちらかです。特に営業チャネルの少なさ、営業コストをかけない、営業マンが営業活動をしていないケースが圧倒的に多いと感じます。

 

 私は売上至上主義という考えではありませんが売上が減少しているということは、顧客が離れていっていることに他なりません。

 

売上よりも利益が重要ということに異論はありませんが、利益の源泉は売上であり、売上は顧客を創造することで発生しますので、業績が低迷している場合は、改めて自社の製品・サービスに魅力があるか、販売方法、営業活動は適正かどうかを議論してみるとよいでしょう。

 

デジタル化が進み、新型コロナで価値観や行動が変容しようとも、商売の基本は普遍的なものではないでしょうか。

 

それでは、また次回です。

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経営改善について
「相乗積」を活用した営業戦略の立て方!

こんにちは、伊藤です。
梅が咲き始め、また、私の好きな日本酒も新酒が出荷される時期となり、少しずつ春の訪れを感じている最近です。
さて、今回のテーマは「相乗積」を活用した営業戦略の立て方!です。 

日頃、営業活動を行う中で、
「A社は当社のシェアが大きいから、売上を維持するための守りの営業を行う」や、
「B社は当社の取引がないから、攻めの営業を行う」など肌感覚ではわかりながらも
「どの取引先でいくら売上を伸ばせばよいのか?」「適正利益率はどれぐらいなのか?」を判断するのは困難ではありませんか。
 

そのような場合に活用できるのが「相乗積」です。
「相乗積」とは、「売上高比率×粗利益率」で求められ、部門・商品群ごとの利益貢献度を表すものです。
スーパーマーケットなどの小売業者の店舗レイアウトの改善検討時やマーケティング戦略立案時に活用されることが多いです。

 
今回は、部門・商品群を、取引先に置き換え、各取引先の利益貢献度を計算し、取引先別の営業戦略を考えてみたいと思います。

まずは、取引先別リストを作成し、取引先ごとの売上高構成比×粗利率で相乗積を計算します。
今回はエクセル形式で作成しました。
相乗積の合計は会社全体の粗利率と一致します。

 

次に考えるのは当社の粗利益率の目標値です。
現在、14.81%が会社全体の粗利益率のため、15.00%を目標と設定します。

売上高の大きいC社の利益が改善出来れば粗利率の向上は期待できますが、売上構成比40%以上を占めており、
価格交渉をすることで売上が減少する恐れもあります。
そのため、売上構成比が高すぎず、利益率改善が期待できそうな取引先を検討します。
今回はD社の利益率改善に取り組み、会社の粗利益率15%を目指します。

D社の売上高、粗利金額を変更しないといけませんが、
エクセルでリスト作成する場合は、是非「ゴールシーク」という機能を使ってみてください。
ゴールシークとは、あらかじめ設定した目標値(答え)からいくら必要なのか逆算で計算をしてくれる機能です。

 

数式入力→会社の現在の粗利益率合計が表示されている数式セルを選択、
目標値→15%と入力、変化させるセル→D社の粗利金額のセルを選択し、OKを押します。 
会社の粗利益率15%となるため、D社で獲得するべき粗利益金額、粗利益率が計算されました。

もちろん、机上の算定結果だけなので、利益交渉を成功させるための戦略も必要ですが、
ターゲット顧客や営業戦略を決定しなければ始まらないと思います。
是非1つのツールとして活用してみてください。 

伊藤 侑加

経営改善について
無料で利用できる!信用保証協会の専門家派遣事業はご存知ですか?

こんにちは、伊藤です。

当社では以前から事業再生・経営改善についてのご相談を受けておりますが、
最近、資金繰りに逼迫した事業者様からのご相談が急増しております。
 
特に、ファクタリングに頼った債務の支払い、借入金のリスケジュール、カードローンの利用など、
あらゆる打ち手を尽くしたものの、
とうとう今週末の支払いができず、当社にご相談いただくというケースが増加しています。

当社も経営のドクターとして、あらゆる打ち手は持っていますが、
資金ショートまで余裕のある期間が2,3日となると、助言出来ることが限られてしまいます。 
 
あと半年、せめて3ヶ月前にご相談いただければ、
今のような窮地に立たされることは無かったのでは…という事業者様もいらっしゃいます。

一方で、ご相談いただく事業者様からは、
ここに来るまで経営改善について税理士の先生以外に相談出来るところを知らなかったとのお話も伺います。

当社は無料相談を随時行っておりますので、当社にご相談いただいても結構ですが、
なかにはコンサルタント会社への相談に対しご不安に思われる方もいるかと思います。

そのような事業者様で活用できる制度として、信用保証協会による専門家派遣事業があります。

専門家派遣事業とは、信用保証協会が事業者様に中小企業診断士や税理士などの外部専門家を派遣し、
企業の皆様が抱える課題の発見・解決の支援を行う事業です。

信用保証協会による債務保証付き融資をご利用されている事業者様で、経営課題の解決を希望する方であれば対象者となります。

専門家派遣にかかる費用については、原則、信用保証協会が全て負担するため、事業者様は無料でサポートを受けることができます。

具体的には、外部専門家が1~5回程度、事業者様へ訪問し、外部専門家から見た現状把握や経営改善のポイントの助言などを行います。
売上・利益増加に向けての助言や、事業承継に向けた具体的行動計画の確認、経営改善計画の策定に向けた支援などを受けることも可能です。

支援内容や専門家の訪問回数等については、各保証協会によって異なりますので、ご加入の保証協会にご相談ください。

伊藤 侑加

経営改善について
コンサルティング現場で感じる経営者のスタンス

皆さん、こんんちは。株式会社フラッグシップ経営代表、中小企業診断士の長尾です。

2月も本当に多くのアポイントをこなしました。

そして、「やはり資金繰りで行き詰ってきた企業様が増加しているな」とコンサルティング現場の最前線で感じることが多くなってきました。

資金繰り悪化の要因は様々ですが、共通することもあります。

それは経営者の怠慢、勉強不足、活動量不足、他責志向などといった経営姿勢です。

また、コロナ融資をはじめとした融資や補助金に頼り切っている経営者が多過ぎるというのも問題です。

経営者の仕事は「考えて、判断すること」ですが、経営や資金が行き詰まっている会社の経営者は考えることも、判断することも拒否して、ただ悩んでいるように見えてしまいます。

非常に厳しい表現をしてしまいましたが、一方で資金繰りが悪化すると前向きなマインドになりにくく落ち込むことは理解できます。

ただ、時間的猶予が与えられていない場合はメンタル状態など無視して、その場で考え、すぐに行動すべきです。

私なら、固定費の削減と利益率のアップ、資金流出を止めるための経費削減もしくは元金返済や仕入れの支払い、税金の支払いなど資金流出に関する項目はとにかく関係先に頭を下げて時間を稼ぎます。

しかし、このような事態に陥っている企業の経営者の多くは判断するタイミングも行動もとにかく遅いのです。

ですから、私は資金繰り改善のテクニカルな助言のみならず、即行動に移さなければならないということを強くお伝えしています。

経営者は常に勉強し、頭を働かせ、業績や資金繰りのみならず会社の発展のために全力を尽くさなければなりません。そして成果が出た際には相応の役員報酬を手にすることができます。

我々のような外部専門家に相談するのも良いですが、まずは自分の会社と真剣に向き合い、考え、判断し、行動することが大事です。そういう姿勢を貫き通すことが、経営危機を乗り越える原動力になります。

 今後も資金繰りに窮する会社は加速度的に増加していくと想定されます。

倒産や破産を1件でも少なくするのは我々の使命ですが、経営者のマインドセットが何よりも重要なことは言うまでもありません。

株式会社フラッグシップ経営

代表取締役 長尾 康行