経営方針書 考え方

バスの目的地を理解しているか

 

こんにちは、中小企業診断士の木戸です。

 

『ビジョナリー・カンパニー2 飛躍の法則(ジムコリンズ著)』では、「だれをバスに乗せるのか」が重要であり、まず適切な人(誰を選ぶか)を、その後、目標(何をすべきか)の順番で決める必要があります。ビジョンや戦術、戦略、組織構造なども全て後です。

 

しかし、多くの企業はゼロから誰をバスに乗せるかを考えることはほとんどのケースで難しく、既にバスに人が乗った状態で走っています。

 

そのため、不適切な人をバスから降ろす又は座席を変えて(後部座席へ座らせる)から、目的地を決めなければなりません。

 

(不適切な人=すぐにリストラ、レイオフではないことに注意が必要です。)

 

リストラをしない、しかし不適切な人をバスから降ろすことは一見、矛盾することへの挑戦ですが、最も効果的な方法は、経営方針や社風が不適切な人を自然とバスから降ろさせる(結果、自発的に降りていく)ことです。

 

では、不適切な人とはどのような人のことなのでしょうか。

 

「性格や基礎的能力、専門知識、学歴、業務経験」など様々な要素があると思いますが、私は既にバスが走り出している場合、「バスの目的地を理解し、日々の言動に表れているか?」を重要視しています。

 

会社の目標達成が最も重要なのですが、組織では大小異なれどそれぞれの利害があり、会社にとって重要なこと、やるべきことであっても自分が不利になる場合、やりたくない場合には、会社ではなく個人を優先した言動を取りがちです。

 

ここで、自分が不利になる、やりたくないことでも会社の目的地を理解し、目的地に近づくための行動ができなければ、それは不適切な人であり、バスの後部座席に座るか降りていただくしか無いのではと感じます。

 

1回だけで判断することはできませんが、2、3回と不適切な言動がある人は、その後も同じようなことを繰り返し行うものです。

 

社長自身のベクトルと揃っていないと感じる社員がいる場合には、まずはその社員の座席変更を検討し、それでも難しいようであればバスから降ろすために早急に経営方針の作成、社風の改善に取り組みましょう。

 

中小企業診断士 木戸貴也

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経営方針書
宝の持ち腐れになっていませんか

こんにちは、中小企業診断士の杉本です。

 

企業が戦略を立案する上で、自社の経営資源や競合との優位性を把握するために用いられる「VRIO分析」というフレームワークをご存じでしょうか。

 

VRIO分析とは、企業が持つヒト・モノ・カネ・情報といった経営資源に対し「価値(Value)」「希少性(Rarity)」「模倣可能性(Imitability)」「組織(Organization)」の順に4つの問いかけを行い、強みの優先順位を明確にする手法であり、SWOT分析のS(強み)の補完分析として用いられます。

 

・価値(Value)

企業が保有する経営資源は、外部環境(機会・脅威)に適応することが可能であるか。

 →市場にとって価値ある資源か

 

 

・希少性(Rarity)

その価値ある経営資源をどれだけの競合企業が既に保有しているか。

 →希少性が高いか

 

価値があっても希少性が無い経営資源は、保有していることが前提となっており、保有していない場合は競争優位を失います。

 

 

・模倣可能性(Imitability)

希少性が高く価値ある経営資源を持たない企業は、その経営資源を獲得するために多大なコストを要するか。

 →模倣されにくいか

希少性はあっても模倣されやすい場合は一時的に競争優位を持ち利益を生み出すものの、長くは続きません。

 

 

・組織(Organization)

希少性が高く価値があり模倣されにくい経営資源は、組織全体で使いこなせているか。

 

模倣可能性が低いものの組織で活用できない経営資源は、宝の持ち腐れとなってしまいます。

 

 

VRIO分析は自社だけでなく、他社に対しても行います。競合が内部資源をどれだけ保有しているかは把握しづらいですが、1つの製品を例にとって分析し、自社と他社の差がどこにあるのかを知り、良い部分を真似することから始めても良いのではないでしょうか。

 

また、VRIO分析は1度行えば終わりというわけでなく、自社の経営資源の保有状況や外部環境によって変化します。定期的に実施し、自社の強みや他社との競争優位を整理しましょう。

中小企業診断士 杉本貴弘

経営方針書
顧問先様の経営方針発表会に出席しました

先日は長尾とともに、顧問先様の経営方針発表会に出席しました。
発表会の会場は、とあるホテルの会場を貸切られ、とても厳かな雰囲気でした。 
 

経営方針発表会の冒頭では、社長からの今後30年先を見据えた、企業のMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)についての発表がありました。
30年先というのは、今現在、勤務されている一番若い従業員様が定年を迎える年として設定されたそうです。
また、従業員の皆様が長く働きたいと思える会社にするために、今後、会社としてどのような取り組みを検討しているのかについての発表もありました。
賃金の上昇と家庭も大切にしながら、仕事も充実したものにして貰いたいという社長からの言葉の1つ1つには、従業員の皆様を大切にされているという想いがとても伝わってきました。
 

従業員の皆様からは今年の売上目標とその目標達成に向けた施策の発表、各自の決意表明の発表がございました。
決意表明をすることで、自分自身を奮い立たせることが出来るとともに、仕事に対する考え方、目標などを会社の皆様に伝えられる機会であるとも実感しました。 
 

こちらの顧問先様とのご縁は、経営改善支援がきっかけですが、現在は黒字化し更なる成長に向けて進まれています。
創業100年以上の企業様で、経営者様や幹部層の皆様の経営に関する考え方など、私たちも学ばせていただくことが多いです。
 

弊社においても来年1月に経営方針発表会を執り行う予定です。
当社はこれまで代表の長尾からのみの発信による経営方針発表会がでしたが、顧問先様の経営方針発表会に出席し、今後は従業員からの発信も多く行う経営方針発表会を実現していきたいと思いました。

 
伊藤 侑加

経営方針書
経営者の立場、従業員の立場

こんにちは、伊藤です。

フラッグシップ経営に入社して早くも1年が経過しました。

現在の仕事は、事業者様の課題を解決するためのパートナーとして
経営者や経営幹部の皆様とお話する機会が多く、多忙ではあるものの充実した日々を過ごしています。

経営者の方とお話する中で実感することは、
殆どの経営者の方が
「従業員の皆様に利益を給料で還元したい。」
「この会社で働いていることに誇りをもってもらえる企業にしたい」
「安定した雇用の維持」など、従業員の事を本当に考えられているということです。

M&Aの現場においても、譲渡時の条件として「従業員の雇用の維持」を挙げる企業様が大半です。

当社に入社するまでは、
私は「世の中で賃上げの話が出ているけれど、住民税の増加分の方が給料の増加分より多いわ。」や
「なぜ今のままで十分なのに人事制度を変更するのか」など従業員としての立場でしか物事を考えられていませんでした。

会社が社保・雇用保険料などを半分負担してくれているという事は知っていましたが、
会社が新たに行うこと、会社が変わろうとする事象に対し、常にマイナス思考にしか捉えられていませんでした。

でもよく考えれば
同じ仕事しかしていないのに給料を上げて欲しい、
利益が増えていないのに給料を上げて欲しいって・・・。

今の職業に就いたお陰で色々と気づくことが多いです。

また、利益が良くても悪くても、従業員がプラス思考になることは殆ど無いと判断して、
経営状態を伝えていない会社も多く存在すると思います。

何もわからなければ、
従業員としては、目の前の仕事をこなすだけでよいと判断し、
会社の物事を自分事と捉えられないのもやむを得ないと思います。

従業員の視座を経営者が見る視座と同じ位置にする必要はないですが、
経営者が会社のビジョン(夢・大きな目標)を従業員に共有し、
例えば、各人に売上目標を課すのであれば、なぜこのような目標があるのか、
人事評価を変更するのであれば、会社としてどういう人材になって貰いたいから評価方法を変更するなど・・
経営者が従業員に対して思っている事をしっかりと伝え、
経営者と従業員の価値観をすり合わせしていくことが大切だと感じています。

もちろん、話をすることで
会社の方針と合わないとして、去ってしまう従業員もいるかもしれません。

しかし、変化が激しい今の時代では
経営者、従業員、皆が一致団結して前を向いて取り組まなければ乗り越えることが出来ません。

経営者が自身の思い、従業員に期待すること、従業員へどのような還元をするのかをしっかりと伝え、
経営者の想いや会社の理念、方針に共感できる従業員が集まり、
組織力を高めながら様々な状況を乗り越えていくことが重要だと思います。

伊藤 侑加