解決への道のり
「人間は、問題には直ぐ到達するが、解決には直ぐ到達しないような存在である」
ドイツの哲学者・社会学者である、ゲオルグ・ジンメルの言葉で、岩波文庫出版の『愛の断想/日々の断想』という書籍に収録されています。
同書は断片的な思想を書き留めたノートのようなものなので、実際どういうシチュエーションでこの思想に到達したのか、また、以後どのような思想へと展開したのかまではこれだけでは分かりません。
しかし、この言葉だけ見ても、真に本質をついたものであると私は感じました。
何かしらの問題が存在する時、それ自体を可視化できても、一体何によって解消できるのかということは、往々にして即時で結論が出るものではありません。
問題の中には、いくつかの課題が存在しており、その課題を解決するための手段を考える必要があります。
ですが、解決のための手段というのは決まった型があるわけではなく、各ケースにあわせて、またそれまでの経験の中から最適なものを選び取って実行します。
この場合、最も壁となるのが、「これが最善の方法であるのか?」という疑念です。
「もっと良い方法があるはずだ」、「もっと近道があるはずだ」という、解決までの最短距離を目指すことはとても重要であると思います。
一方、最短距離での最善を模索するあまり、思考の迷路に入って、結局いつまでも実行に移せない、という状態に陥る危険性も存在するのです。
このような場合、最も手っ取り早いのは、「人に相談する」ことではないかと考えます。
結局のところ、自分の思考領域だけで解決できなければ、領域を広げるか、自分以外の領域を借りるかの二択になります。
他者の思考を借りるメリットは、自分とは全く違う人生を歩んでいること、それにより、物事を見る角度が異なることです。
一方向から平面的に見えていたものが、別方向からの視点を加えることで立体として浮かび上がり、結果として、物事の様相ががらりと変わる瞬間に出会えるのです。
もし、思考の迷路に入ってしまったら、ぜひ一度、誰かに相談してみてはいかがでしょうか。