「足るを知る者は富む」 真の豊かさとは何か
皆さん、こんにちは。
フラッグシップ経営代表、中小企業診断士の長尾です。
ようやく秋らしさが出てきた大阪です。
寒暖差が激しくなる季節ですので、体調管理にはお気を付けください。
さて、今回は私が最近意識している「足るを知る者は富む」 という考え方についてお話しさせてください。
私自身は経営コンサルタントとして成長と目標達成を追求する日々をこれまで送ってきており、プライベートも含め人生は比較的順調だと自分では思っています。
しかし、ふとした瞬間に「もっと上へ」「まだ足りない」という焦燥感に駆られ、知らず知らずのうちに他人や競合他社と自分を比較してしまうことがあります。
この「比較」こそが、私たちの心の平穏を乱す最大の要因だと感じています。
手に入れたはずの成功や、順調なはずの日常も、誰かの「もっと良いもの」を見た途端に色褪せて見える。
この感覚は、際限のない欲望のループであり、どんなに地位や富を得ても、本当の幸せには辿り着けないことを示唆しています。
際限のない競争からの卒業
老子の言葉に「足るを知る者は富む」という教えがあります。
これは「満足することを知っている者は、精神的に豊かである」という意味です。
現代社会において、「富む」と聞くと、つい金銭的な豊かさを想像しがちです。
もちろん経済的な安定は重要ですが、この教えが説く「富」とは財布の中身ではなく心の持ちよう、内面の充足を指しています。
私たちは常に「不足」を起点に物事を考えがちです。「年収が足りない」「スキルが足りない」「時間が足りない」。
この「足りない」という視点に立てば自分の周りの世界は常に欠けているものだらけです。
一方、「足るを知る」という視点に立てば世界は一変します。
今の健康に感謝する。
愛する家族や友人がいることに感謝する。
挑戦できる仕事があることに感謝する。
屋根のある家で眠れることに感謝する。
これらはすでに私たちが持っている、誰かと比較する必要のない確固たる豊かさです。
この「あるもの」に焦点を当てることこそが、心の富を築く第一歩なのです。
競争社会を生き抜くための「心のセーフティネット」
経営の現場でも、健全な競争は成長のエネルギーになります。
しかし、その競争が「他人を打ち負かすこと」を目的とした際限のないレースになったとき、疲弊と不幸しか生み出しません。
真に力強い経営者やビジネスパーソンは、表面的な成功や他人の評価に惑わされず、自分軸の「満足点」を持っています。
それがブレない判断基準となり長期的な安定と幸福につながるのです。
他人との比較で一時的な高揚感を得るよりも、今、自分の周りにある「足る」を噛みしめる方が、心の安定、ひいては人生の持続的な幸福度を確実に高めます。
これは、人生というプロジェクトにおける、最も強固な「心のセーフティネット」です。
私も、時には上を目指し競争しますが、最終的にはこの「足るを知る者は富む」という教えに立ち戻るようにしています。
自分にとって何が大切かを明確にし、既にある豊かさに感謝すること。
それこそがストレスの多い現代を幸せに、力強く生き抜くための真の経営戦略なのかもしれません。
皆様にとっての「足る」とは何でしょうか?
立ち止まって、今一度、ご自身の周りにある豊かさを数えてみてください。
そこには、あなたがすでに持っている、揺るぎない「富」が必ず見つかるはずです。