子どもの教育から学ぶビジネス現場の多様性
皆さんは多様性について考えたことはありますか。
ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)という言葉を最近よく耳にするようになりました。
多様性を受け入れ、包括することで、個々の能力を最大限に発揮できる環境を作ろうとする考え方です。
私は昔、様々な理由で学校に通えない子どもたちの教育に携わっていたことがあります。
そこでは、子どもの現状や特性に合わせて、自ら学び、成長できる環境を提供することが私たち大人の役割でした。
今回は多様性を生み出す環境を作るための要素の一つとして、学習スタイルについてお話ししたいと思います。
学習スタイルは様々な分類方法があるので、一概には言えないのですが、視覚型、聴覚型、読書型(言語型)、体験型の大きく4つに分けることができます。
視覚型は視覚的な情報から学びやすく、図やイラストなどから情報を目で見て理解することを好みます。聴覚型は講義や会話など音をとおして情報を理解することを好みます。
読書型は文章を読み書きしながら学び、文章を通して情報を整理し、理解します。体験型は実際に手や体を動かし、自分自身で体験をするなど、実践的な活動を通して学びを深めます。
皆さんの学びのスタイルはどのタイプに近いでしょうか。
ちなみに学習スタイルはグラデーションになっていたり、視覚型と体験型が混ざっていたりと人によって様々です。
元気な時はどの方法でも対応できるのに、疲れていたり、緊張したりすると特定のスタイルでしか学習できない、情報が処理できなくなるなど、その人の体調や状況によっても学びのスタイルはどんどん変化していきます。学びのスタイルは子どもの教育現場だけでなく、ビジネスの現場でも活用することができます。
人材教育や仕事の進め方などの指導、配置転換を行う際にも役立つかもしれません。
学びのスタイルを知ることはもちろん万能薬ではありませんし、自分自身や身近な人の欠点やできないことだけに焦点を当てるものではないということを念頭に置きながらも、自分や仲間の弱みも受け入れながら、強みを最大限に活かすための一つの方法として、誰かのために活用できる部分はないかと日常的に考えることが重要だと私は考えています。
最後に10年間子どもの教育で多様性のある環境を実現してきた、とあるNPO法人の職員の方からいただいた言葉を皆さんにお伝えできればと思います。
「正面から見ると長方形に見えるけれど、上から見ると実は円柱かもしれない。
同じ物事でも見るヒト(見る視点)によって考え方が180度変わってしまうことがある。」
この言葉には続きがあり、正しいことは人によって違うし、国や育った環境・文化によっても違うし、時代によっても変化してしまう。だから違いを受け入れること、対話をすることがとても重要だとおしゃっていました。
私自身、頭でわかっていてもなかなか違いを受け入れられない、頑張ろうと思っても考え方や行動をなかなかな変えられないと落ち込み、反省することが多いのですが、柔軟性を身につけながら誰かのスタイルに寄り添うことで「多様性」を実現できればと思います。