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中小企業診断士1次試験の勉強で意識していたこと①

こんにちは、中小企業診断士の杉本です。

今回は中小企業診断士1次試験受験生の読者様に向けて、自身が受験勉強の際に意識していた点について科目別にご紹介します。

 

(1)各科目共通、全般

①過去問中心の勉強

診断士の1次試験に合格するにはどれだけ過去問を解いたかと言っても過言ではありません。

参考書や講義は1~2周+理解不足の論点を個別に勉強する程度にし、後はひたすら過去問に取り組んでいました。

 

②科目合格を狙わない

「来年残りの科目頑張ればいいや」ではなく、最後の最後まで7科目420点の合格を目指して勉強に取り組みました。

これは得意科目を科目合格し科目免除してしまうと、その他の苦手科目をカバーできなくなり平均60点が難しくなるためです。

 

(2)経済学

最初は全く理解ができなかった経済学ですが、グラフの縦軸横軸がそれぞれ何を示し、何の関係を表しているのか、そして環境変化の結果どの様に動くのかを意識することで理解度が深まりました。

例えばIS-LM分析では縦軸に利子率(r)、横軸に所得(Y)を取っており、IS曲線は右下がり、LM曲線右上がり、拡張的な財政政策を行うとIS曲線は右側に、金融緩和政策を行うとLM曲線を右側にそれぞれシフトさせますが、利子弾力性がゼロの場合等特殊なケースもあるため注意が必要です。

 

(3)財務会計 

財務会計は簿記をこれまでに勉強したことがあるかで得手不得手がはっきりと分かれるかと思います。

アカウンティングは実際に仕分けを起こし財務諸表にどう影響するかを考え、ファイナンスは計算式の暗記に取り組み繰り返し問題を解くことで解法を馴染ませました。

 

(4)企業経営理論

企業経営理論は範囲が膨大で人物名や用語等の覚えることも多く掴みどころが難しい科目に感じます。

例えばマズローの欲求5段階説であれば組織論のモチベーション理論で、モチベーション理論は他にX・Y理論や動機付け・衛星理論があるなど今、どの分野の論点を勉強しているのかを常に考えし、キーワードと別のキーワードの繋がりを意識していました。

また、論点を実際に自分が所属する企業や学校、有名企業に置き換え、イメージすることで理解が深まります。

 

(5)運営管理

こちらも製造業や流通・小売業に馴染みがないと難しく感じるかもしれませんが、CMで見かける様な自動車メーカー、アパレルショップやスーパー、運送会社等、具体的な企業をイメージすることを意識し、理解度を高めました。

 

次回は経営法務、経営情報システム、中小企業経営・政策で意識していたことをご紹介します。

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プロフェッショナルアカデミー
中小企業診断士1次試験の勉強で意識していたこと②

こんにちは、中小企業診断士の杉本です。

先月に引き続き、中小企業診断士1次試験受験生の読者様に向けて、自身が受験勉強の際に意識していた点についてご紹介します。

 

(1)経営法務

経営法務は会社法、知的財産権、民法、その他の法律・取引と、経営に関する法律や取引について幅広く知識を習得しなければなりません。

どの分野も重要で膨大な量の暗記が必要ですが、特に会社法と知的財産権について重きを置く必要があります。

暗記方法の一例としては、特許権・実用新案権・意匠権・商標権・著作権などは表にして横並びに覚えることが挙げられます。

表にすることで情報が整理でき、一目で違いを把握することができます。

直前期は現行の法律に対応した過去問を繰り返し解くこと、当年の法改正論点を個別に学習することで記憶の定着に努めました。

 

(2)経営情報システム

経営情報システムは経営法務と同様にIT関連の知識の暗記が必要ですが、暗記以外にもSQLやプログラミング、昨今のITトレンドについて理解しておく必要があります。

略語も多く大変ですが、一つひとつ丁寧に用語の意味を理解することを心がけていました。

日頃から新聞やニュースによりITトレンドに触れることで、IT用語に慣れておくことができます。

 

(3)中小企業経営・政策

中小企業経営では、試験前年に公表された中小企業、小規模事業白書が出題範囲となっています。

中小企業白書の内容については増加・横ばい・減少の傾向を掴み、統計情報に関しては、無理にでも語呂合わせを作ることで自分なりに覚えやすいよう工夫を行いました。

中小企業政策については法務と同様に精度を横並びで覚えることを意識しました。

余裕があれば中小企業経営では中小企業白書・小規模企業白書、中小企業政策では中小企業施策利用ガイドブックを一読しておくと良いかもしれません。

 

試験二日目の科目は全て暗記科目であり、直前期の勉強が重要です。

過去問や問題集を活用し、最後まであきらめずに取り組んでみて下さい。

 

プロフェッショナルアカデミー
ものづくり補助金の申請支援の事例紹介~不採択事例~

皆様、こんにちは。コンサルタントの住吉です。

先日のブログでは、
当社がものづくり補助金の申請支援を行って
採択された事例を紹介しました。
▽▽▽
ブログ記事はこちら

今回は、当社が申請支援を行った結果
不採択」になってしまった事例をご紹介したいと思います。

採択された事例との違いやポイントなどご参考にして頂ければ幸いです。


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当社が主催する認定支援機関・個人コンサル向け勉強会「プロフェッショナルアカデミー」を
来月6/15(土)に大阪にて、6/29(土)に東京にて開催致します。

今回のテーマは「今さら聞けない ものづくり補助金の実務」です。

GW明けの5月8日にものづくり補助金の公募期間が終了しましたが、夏頃に2次公募の実施が予想されています。
この講座で、ものづくり補助金の申請におけるノウハウやポイントを勉強していただき、
次回の公募からすぐ活用できるレベルまで解説いたします。


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~~~不採択だった事例のご紹介~~~


■ 企業の概要
某県に事業所を構えるT社は、主にエンジン関連の自動車部品製造を行っています。
地域では有名な工業地帯に位置しており、
周辺には金属製品や自動車関連部品の製造を行う小規模事業者が数多くありました。
T社にとっては競合企業ですが、同じ地域を支える事業者として良好な関係を構築していました。

また、自動車のエンジン関連部品は難加工が多く、
T社は熟練した職人の技術力を強みに事業を拡大していきました。
しかし一方で、職人の高齢化や人材不足が大きな課題となっていました。


■ 事業実施の背景(設備投資が必要な理由)
製造業の生産管理には、よくQ(Quality:品質)C(Cost:コスト)D(Delivery:納期)の考え方が用いられます。
T社は、自社の強みを発揮して複雑形状をした製品製造に取り組み、顧客の要望にも柔軟に対応してきました。
しかし、近年では自動車の安全性能の向上や排ガス規制への対応などにより顧客の要望が厳格化してきていました。
特に製品の”精度”については一層の向上が求められており、
T社では製品の「検査測定」工程がボトルネックとなっていました。

具体的には、T社では熟練した職人が
マイクロメーターやハイトゲージ、シリンダーゲージ等の複数の測定器具を用いて
製品の検査測定を行っていましたが、
最近では顧客からRの仮想点・架空点といった測定器具では図ることができない箇所の精度が
㎛単位まで求められるようになっていました。

T社ではこのような検査測定が不可能なため外部や元請け企業に検査工程を依頼せざるを得ず、
コストが発生する上にリードタイムの長期化に繋がってしまいました。

今後も顧客の要望に応え事業を拡大していくためには
検査工程の刷新が必要不可欠であったため
ものづくり補助金を活用して「高精度測定機」を導入することにしました。


■ 設備投資の内容
高精度測定機 税別680万円


■事業計画の概要とポイント
T社の位置する工業地帯では、高精度測定機を導入している事業者が非常に少なく
今回の設備投資は、同業社と大きな差別化を図ることが期待できました。
一方で、近隣の事業者においても顧客からの要望厳格化の流れが大きくなっており
T社は自社で高精度測定を実現することで、将来的には同地域の小規模事業者の検査工程を請け負い
地域全体の底上げに繋げたいというおもいを持っていました。

そこで、設備投資による製造工程の変化やリードタイムの短縮など期待される効果を一覧化して
Before→Afterを明確に示した事業計画を作成するとともに
将来展望として同地域の小規模事業者と協力体制を構築することを計画に記載しました。

また、電気自動車の台頭などにより業界全体は厳しい状況にあるものの
更なる難加工や異素材による高精度製品の製造にも取り組むことで
積極的に事業を展開していく、という計画を作成し申請を行いました。


■不採択になった理由
ものづくり補助金が不採択だった場合、
地域の中央会に問い合わせれば審査を行った審査員のコメントを聞くことが出来ます。

T社では、主に以下のようなコメントが寄せられました。
(以下はコメントの一部です。少し表現は変えています。)

・リードタイム短縮による生産性の向上は期待できる
・技術的に真新しいとは言えず、革新的とは言えない
・想定されるマーケットの認識や評価が曖昧      など

審査員は、公募要領に記載されている「審査項目」を基準に審査を行います。
技術面、事業化面、政策面といった切り口がありますが
T社においては、技術面、事業化面における評価が低かったということになります。

確かに、設備投資によってリードタイムが短縮するためT社の生産性向上は期待できます。
しかしこれはT社に限ったことではなく同じ測定機を導入すれば他の企業でも同様の効果を見込めます。

ものづくり補助金の申請要件には
「革新的な試作品・サービス開発や生産プロセスの改善」とありますので、
同業他社には出来ないT社ならではの工夫、取り組みでなければいけません。

先日のブログでご紹介したH社では、導入する設備は同じ「測定機」でしたが、
設備導入後は、自社の強みを活かしてこれまでにない新たな加工方法の確立へ取り組む、と言う内容でした。
(H社は技術面において評価された、ということになります、)

また、将来的にどのようなマーケットへ展開していくのか、については
T社の経営者様へヒアリングを行っていましたが、
「どこに攻めるか・・・あまり思い浮かばないなあ。既存の対応で精一杯かなあ。」
という回答であり、経営者自身もはっきりとは見出せていない状況でした。

そのため、想定されるマーケットや業界について記載はしたものの
やはり具体性に乏しく、審査員には痛いところを突かれてしまった、という結果でした。


■さいごに
ものづくり補助金は競争率が高いため、
単に要件を満たしている、というだけでは採択は難しくなります。
設備投資によって実施したい事業が補助金の趣旨(革新的な開発で生産性向上に資する)と合致していること、
そしてそれを客観的に伝えられることが必要不可欠です。

T社の経営者様には、契約前の段階で一度ヒアリングを行っており
「革新性を強く訴求できないため、厳しい戦いになります。」
とは事前に伝えていましたが、それでも挑戦したいというお話を伺い、申請支援を行いました。

申請支援を行う専門家として力が及ばなかったことに悔しさを感じますが、
事業者に対しては、事前にリスクや懸念点を伝えておくことは必要であると感じています。

当社では、基本的に厳しいと思われる案件であっても依頼をお受けしますが、
(対応できる案件数には限界があります・・・)
補助金を活用する場合には、
その制度の趣旨や目的に沿った内容であるかを確認することをお勧めします。

趣旨に合っているかが分からない、不安だという場合には
ぜひ一度、お問い合わせください。



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このような他社事例の紹介や計画書作成におけるポイントはもちろん
事業者との契約時の注意点や、提出に必要な資料のまとめ方、押さえておきたいポイント等もお伝えします。
次回の公募からすぐに活用できる、超実践的な講座です。
ぜひご参加いただければ幸いです。

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プロフェッショナルアカデミー
ものづくり補助金の申請支援の事例紹介

皆様、こんにちは。コンサルタントの住吉です。
当社が主催する認定支援機関・個人コンサル向け勉強会「プロフェッショナルアカデミー」を
来月6/15(土)に大阪にて、6/29(土)に東京にて開催致します。

今回のテーマは「今さら聞けない ものづくり補助金の実務」です。


今年度のものづくり補助金はGW明けの5月8日に公募期間が終了しましたが、夏頃に2次公募の実施が予想されています。
この講座で、ものづくり補助金の申請におけるノウハウやポイントを勉強していただき、
次回の公募からすぐ活用できるレベルまで解説いたします。


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さて、今回のブログでは
当社が実際にものづくり補助金の申請支援を行い、補助金の採択を受けた事例を紹介します。


■ 企業の概要
京都府に事業所を構える金属製品製造業(H社)。
主に産業機械に使用される精密部品の金属金型を製造している。
また、自社内での開発・設計も可能であり、下請け受注だけでなく独自製品の製造販売も行っている。
年商は6億円程で、従業員5名の小規模事業者。

■ 設備投資の内容
高精度測定機 税別700万円


【支援の流れ】
まずはH社からの資料提供とヒアリング、工場見学を行い、現状分析に取り組みました。
ものづくり補助金の申請においては、公募要件を十分に満たすことはもちろん、
審査項目を全て網羅し、内容に一貫性のある事業計画を策定することが必要です。
また、単なる代替投資や設備の更新ではなく、
革新的で自社の生産性向上に寄与する取組であることも示さなければいけません。

そこで、次のように事業計画の策定を行いました。



【計画書の主な構成】
1.H社の現状・強み
2.市場動向・顧客ニーズの変化
3.H社の現在の課題とこれまでの取り組み
4.設備投資の必要性と内容
5.期待される効果と革新性・優位性
6.H社の社内体制と事業スケジュール
7.新市場・顧客への展開戦略
8.定性・定量計画



【計画の概要とポイント】
H社は、小規模でありながらも最新型設備を積極的に導入して技術力の向上に努めており、
㎛単位の優れた精密加工技術を強みに、業界・業種を問わず多種多様な製品の試作開発に取り組んできました。
計画には、このような事業者の強みを必ず明記します。


その上で、なぜ設備投資が必要なのかを、審査員が納得するよう分かりやすく示します。
H社の場合は、製造工程における「検査測定」に課題があり、顧客の要望を満たせていませんでした。
具体的には、H社の顧客からは従来以上に高精度化・短納期化の要望が高まっており、
寸法公差(図面の寸法に対して許される誤差の範囲)が100μm単位、10μm単位、1μm単位と厳格化していました。


しかし、H社では製品の精度検査をマイクロメーターやノギスを用いて行っていたため、属人的で精度にバラつきがあり
製造加工時に発生するひずみや公差を1㎛単位まで正確・精緻に測定することができませんでした。
そこで、新たに1㎛単位での高精度測定を実現できる高精度測定機を導入することで
顧客の要望を十分に満たすとともに、強みを発揮してこれまでにない新たな加工方法の確立への挑戦に取り組む計画を策定しました。


計画書には、現在の製造工程をフロー図で表して課題である「検査測定」工程を色分けして示したり、
実際の図面や現在使用しているマイクロメーターの写真を掲載することで、見やすい・分かりやすい計画書を作成しました。


また、必ず入れなければならないのは設備導入による変化、Before→Afterを示すことです。
H社の場合は、検査精度、不良率、検査における所要時間などの変化を一覧化しました。
また、新たに挑戦する加工方法については、H社の社長と協力してイメージ図を作成しました。


文字だけの計画書では事業のイメージが浮かびにくく、審査員にとっても読みづらい計画書となってしまいます。
小学生でもわかる、とまでは言いませんが、分かりやすく説得力のある計画書であることが必要不可欠です。


さらに、将来的にどのように事業を展開していくのかも明記しなければいけません。
H社では、既存顧客・新規顧客の2つの切り口で、どのような業界・企業をターゲットとするのかを示しました。
また、ターゲットとなる市場の規模、現在のH社のシェアなども記載してその市場に将来性があることを示しました。
その他、公募要領に記載された審査項目をすべて網羅した計画を作成し、申請を行いました。


H社は小規模事業者だったため補助率は2/3、設備投資額が700万円だったため小規模型での申請でしたが
無事に採択され、700万円×2/3=466万円の補助金が交付されました。


今回の講座では、このような他社事例の紹介や計画書作成におけるポイントはもちろん
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